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第11話 会計士?

Author: みみっく
last update Last Updated: 2025-08-28 11:02:46

「ユウさん、この方ですか……? ずいぶんと、おきれいな方ですねぇ……」とルナが俺の腕を強く組んできた。

 おぉ!? ルナさんヤキモチですか? ムスッとした顔で見つめられてる……気まずいが、ルナのヤキモチは嬉しいかもな。過去の余裕なルナさんはどこへ? と思い出しニヤけてしまう。

「ユウさん……ニヤけてますよ……。そうですか。こういったキレイなお姉さんが、お好みなんですね……?」と俺の耳元で小さく呟いてきた。

「それは違うぞ。今、ニヤけていたのはな……過去のルナと今のルナを比べると微笑ましくてな」とルナに小声で話した。

「むぅ……わたしは、わたしですよぅ……」と言い目を逸らして、恥ずかしそうに俯いた。

「あ、あのぅ……ご紹介を……わたし、フェルシアと言います。人生が終わったと、落ち込んでいた所をユウさんに助けていただきました」と深々と頭を下げた。

「わたしは、ルナと言います。えっと……ユウさんの……その、つ、妻です。ユウさんのお嫁さんになりましたっ!」と顔を真っ赤にさせて、フェルシアに自己紹介をした。

「そ、そうなのですね……羨ましいですね……」と言い、羨ましそうにルナを見つめた。

「大体の事情は、ユウさんから聞いていますよ。大変でしたね。それとお店の方を引き受けて頂きありがとうございます」とルナが微笑みながら軽く頭を下げた。

 フェルシアが慌てた様子で「あ、いえ……その、引き受けましたが……まだ、何も分からず……何もしていないのですが……? あの、ユウさん、どうしましょうか?」

 いろいろとお店の準備をしたいが、なにをして良いのか分からずに皆で話し合いをしていた。

「とりあえず、野菜を売れば良いんじゃないのぉ?」とユナが言ってきた。

「えぇー? 値段はー?」とレイがすかさずに言ってきた。

「それは……他の八百屋さんで値段を見てくれば良いんじゃないのぉ?」とユナが答えた。

 まーそうだけど……少量を不定期に販売って、どうなんだろ? 特殊で珍しい野菜なら良いかもだけどな……仕事というよりも、小遣い稼ぎ程度にしかならないだろ。

 その時――

「あの……すみません。領主様の紹介で来ました、ミリーナです。会計士なのですが……」

 そこに領主の紹介でピンク色のショートヘアーで、ピンクの瞳が美しい女の子がやってきた。

 どうやら会計士らしいけど……。今現在、会計以前の問題を話し合ってるんだよな。会計士は売上が出てからじゃないのか?

「今、会計をする売上もないしな。商売をする前の段階を話し合いしていたんだ。」とミリーナに申し訳なさそうに言った。

「ふむ……ふむ……そうなのですか? それで、何が問題になっているのです? 何に困っているのです?」とミリーナが聞いてきた。

「何が? その『何が』が分からない状態なんだがな」と俺が言うと、その言葉にユナとレイにフェルシアがともに頷いた。

 エリーは部屋の隅でウトウトと壁に寄り掛かり寝ていた。朝方まで……頑張ってくれていたからな。

「では、まず、野菜を仕入れなければいけませんね。安定した仕入れのルートはあるのですか?」とミリーナが聞いてきた。

「裏庭で育てた野菜はあるんだがな」と答えた。

「そうですか。それはちょっと……微妙ですね。安定して売れる量を確保できるのですか?」とミリーナが無愛想に答えてきた。

「多分2、3日で無くなるな」と俺が答えると、「でしょうね……裏庭で2、3日はスゴイとは思いますけれどね」とミリーナが答えた。

「今後は、裏庭じゃなく畑を作ろうと思ってるんだが?」

「ふむ……ふむ……。まあ、それは良いと思いますが、まずは仕入れルートを探さないとですよ。お店を維持するお金と、生活費を稼がないとですよ。あと、販売ルートも作らないとですね……。お店で販売しているだけだと……」と、いろいろとミリーナが教えてくれた。

 初めは無愛想でムスッとしていたが話してみると色々と詳しく頼りになりそうだった。「ふむふむ……そうですか。それでは、これでいかがですかね?」といろいろと案を出してくれた。

 すでに話に飽きたレイとユナがワイワイ、ドタバタと遊びだし、フェルシアが二人の面倒を見つつ昼食の準備を始めた。

 八百屋で話しをしていると、いろいろと話の邪魔が入り話が進まなかった。

「はぁ……ここじゃ、ゆっくりと話しも出来ないな……どこかに場所を移すか……」と呟いた。

 森でも良いが、ミリーナに引かれるだろうな……。領主城は、多少距離があるしなぁ……。ちょっと行って、帰って来るって気軽に行ける距離じゃないし。

 ゆっくりと話せる場所を探していると、「ゆっくりと話せる場所ですか……では、うちに来ます? 狭くて散らかっておりますが……まあ、良ければですが。」とミリーナが素っ気なく言ってきた。

「え? 本当に良いのか?」と驚いてミリーナに聞き返した。

「はい? 何がでしょうか?」とミリーナも驚いた声をあげた。

「いや、手慣れているなと……思ってな。初めて会う男を家にとかな」

「いえ、今回が初めての仕事ですよ? 男の方を家に招くのも初めてですし……。嫌なのなら別の場所で話せる場所があれば、その方が助かりますけど……? わたしも、落ち着いて静かにお話ができる場所が思いつかなかったので、仕方なくですよ。」とミリーナが言ってきた。

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